おでんのたこ!やわらかくする研究
独特な食感。魚介の風味、旨味。
その日のおでんに入っていれば、一気にテンションを上げてくれる。
おでんのタコ。
おでんの具の中では、なかなか高価な具材です。そんな貴重な具材だからこそ、最高な状態で食したい!柔らかくてプリップリの美味しいタコを作りたい!
でも、おでんのタコはどうすれば柔らかく仕上げることが出来るのか?
これはどうやら、結構難しい課題のようです。ネットで色々と調べても、なるほど!といった決定的な方法というものが見つかりません。
断片的にぼんやりとした情報はいくつかあるのですが・・・。
よし!それなら、そのような情報をもとに自分で実際に「柔らかいおでんのタコ」というものを研究、考察してみよう!
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実験内容!
実は、去年の冬あたりにもおでんのタコを柔らかくする考察をしていまして、その時に勉強をした延長上として、今回は更に細かく実験してみました!
→ おでんのタコを柔らかくする研究(過去編)も宜しければご覧になって下さい!
私の目標とするおでんのタコは、
「柔らかい」
「プリプリしている」
「出汁がしみ込んでいる」
この3つです。こんなおでんのタコになれば、絶対、美味しいに決まっています。
実験の前に、私のおでんの作り方概要。
下ごしらえ・下ゆでが必要なものはしっかりとして、→張ったおでん出汁に具材をどんどん入れていく。→沸騰させないギリギリの温度で1時間程度煮る。→火を消して冷ます(理想は半日程度)。→食べるときに温める。
この作業は、絶対的基準です。こうやっておでんを作らないと気が済まないんです。
そして、今回の実験内容。2本のタコの足を用意して・・・
- 2本とも「赤みを出汁に出さない対策」で、別鍋で1分下ゆで。
- 1本は、おでん出汁で普通に他の具材と同様に1時間煮込む。
- もう1本は、煮込まず、1時間他の具材を煮込んだ後の冷ます過程の時におでん出汁に付ける。
- 食べる前に数分温めて、この2本を比べる!
こんな感じで、考察してみようと思います。
「柔らかい」という目標に関して
タコを柔らかくするには、思いっきり長時間煮込むか、ほとんど煮込まないか。中途半端に煮込んでしまうと硬くなる。自分の中でこの情報がやはりキーポイントとなっておりましたので、ここに注目し、この実験を試みました
「プリプリしている」という目標に関して
タコ特有のプリッと食感。これは欲しいところですが、おでんとしてのタコにそれは望めるのでしょうか?気になります。
「出汁がしみ込んでいる」という目標に関して
おでんは冷めていく過程で味がどんどんしみ込んでいきます。実験する2本のタコ共にその過程に漬けていますので、ある程度はしみ込んでくれると思います。
さっそく実験開始!
調理模様!
まずは、タコの赤みがおでん出汁全体を赤らませるのを防ぐために、1分ほど下ゆでします。タコの色素でおでんの外観を支配されるのはごめんです。
1分ほど下ゆでしたら、サクッとあげて、足を一本ずつ串にさします。串にささなくてもイイのですが、この雰囲気がいいんですよね。熱いので注意が必要です。
一本は普通に他の具材と一緒に1時間ほど煮込みます。もちろん沸騰させないように。
もう一本は煮込んだ後の冷ます過程で入れるので、ラップにくるんで冷蔵庫で待機させました。
ここから、沸騰させないように極弱火で1時間15分くらい煮込みました。
火を消します。今回は5時間程度冷ます予定です。
ここで、もう一本のタコをおでん出汁に漬けます。
意地でもきっちり漬けこみたくて、他の具材を無理やり押し分けて沈めたので、見栄えが悪くなってしまいました。これも実験のためです。
5時間たって温めなおします。今の季節は秋の入り口。まだ暖かい時期なので5分程度で温めなおしが出来ました。これまた沸騰直前です。
肝心なタコ2本を取り出します!
左側が火を消してから入れたタコ。右側が1時間15分煮込んだタコです。大きさはもともと左側の方が大きかったのでそのままという感じです。
↑ この2つの写真は火を消してから入れた煮込んでないタコ。
↑ この2つの写真は1時間15分煮込んだタコ。
見た目の差は・・・?
「左側の火を消してから入れた煮込んでないタコ」は、表面は崩れていなく「凛」とした感じです。しかし、おでんの出汁の色はしっかりと付いています。
「右側の普通に煮込んだタコ」は、少し表面がどんよりとした感じ。そして、出汁のしみ具合も左側よりも更にしっかりとしみ込んでいるようです。
とってもいい香り!早く食べたい!!
果たしてそれぞれのタコはどんな感じなのか!?いただきます。
食べくらべの感想!
■1時間15分煮込んだタコ・・・。
「柔らかさ」
とろけるような柔らかさではありませんが、柔らかい!です。さすがにタコは大根と違って、とろけはしません。
タコの程よい食感を感じつつも、串で食べてもスッと身がほどけるまではギリギリいかない感じです。わかりにくいですね・・・。
例えるとしたら、鶏のササミ肉と魚の白身の中間ぐらいの柔らかさでしょうか?これもわかりにくい・・・。
とにかく、ギシギシした硬いタコではありません。「おでんのタコ」として、柔らかさというものを感じられる仕上がりになりました。
「プリプリ感」
プリプリ感はありません。刺身用の茹でダコを使用したのですが、本来の弾力のあるプリッとした感触はありません。上でも記したように、ササミ、白身魚の食感に似ています。
「出汁の染み具合」
しっかりとしみ込んでいました!1時間以上煮て、その後冷ます。これでしみ込まないわけがありません。これがおでんの醍醐味です。このタコも確実にその恩恵にあずかっています!
■火を消したから入れたタコ・・・。
「柔らかさ」
かたいです。アゴの力が必要です。
そのままの刺身用のゆでタコと比べるとどうだろう・・・?刺身として食べるときは細くスライスして食べるので、硬さは感じませんが、大胆にこのように串に刺して食べると硬く感じるのでしょうか?
硬くなった、というよりも串で食べるには硬く感じるといったところでしょうか。しかし、決して柔らかさというものは感じません。
「プリプリ感」
プリプリ感はめちゃくちゃありますッ!タコ特有の弾力のある食感は健在です。
「出汁の染み具合」
こちらのタコは、合計煮込み時間は下ゆでも含めて、6分程度。でも長時間出汁に漬けていたので、味はしっかりしみ込んでいます!煮込んだ過程のタコよりはしみ込み具合は弱いですが、十分です。
タコの柔らかさという点では、「1時間15分煮込んだタコ」の勝ちです。
しかし、プリプリ感では、「火を消してから入れたタコ」の勝ちです。
味のしみ込み具合は、「1時間15分煮込んだタコ」のほうがしみ込んでいますが、「火を消してから入れたタコ」も問題のないしみ込み具合でした。
結局美味しいタコはどっち!?
ネットの情報からで、柔らかいタコにするには、「タコは1時間以上煮込むか、中途半端に煮込まないで15分以内にするか。」ということが一番気になったので、今回の実験を試みたわけですが、その結果は。
柔らかいおでんのタコという形でうまく仕上がったのは1時間15分煮込んだタコです。
プリッとした弾力はなくなりますが、味のしみ込みも申し分なく、本当においしいおでんのタコだと感じました。
実は、このタコの足2本以外に、余りの部分を寄せ集めて1本の串に刺したものも、煮込みました。こちらの方は、色々な段取りで、結局、合計2時間ほど煮込んだのですが、実験で検証した煮込んだタコよりも、更に柔らかくなっていたように思えました。
1時間という限界を超えれば、煮込めば煮込むほど柔らかくなるのかな!?そんな見解です。
「火を消してから入れたタコ」は、柔らかいおでんのタコではありませんでしたが、プリプリ感・弾力感というものがあり、これもまた、美味しいものでした。タコそのものにおでんの出汁をしみ込ませた感じ。味付け卵のような調理過程になるのでしょうか。
う~ん。甲乙つけがたいのですが、おでんのタコとしては、そして私の好みとしては、「1時間15分煮込んだタコ」のほうが好きです。
しかし、プリプリのタコも捨てがたい!適度な歯ごたえ、弾力。これにおでんの出汁もしみ込んでいるんです。
もう、これは好みでしょうね。
以上が今回の実験の結果ですが、出来るだけ長時間火にかけて柔らかくするというのが、「柔らかいおでんのタコ」に仕上げるコツなのかなぁ、と感じました。
ちなみに! 今回使用した太い足は「まだこ」の足。一般的にタコといえばまだこです。しかしおでんに入れるタコは、この、まだこだけではなく「イイダコ」という小ぶりのタコも美味しいようです。
地域によってこのイイダコをおでんの具としてよく入れるようです。火を通しても硬くなりにくいという特長もあるようです。これは是非試してみたいです!
おでんのタコを柔らかくする研究(過去編)
→ おでんのタコを柔らかくする研究(最新版)へ戻る。
おでんのたこ。「関西風」おでんでは、結構定着している具といえるようです。しかし全体的にみると、定番の具とはいえないかもしれません。
私も1~2度は入れたことがあります。タコの風味も出て、食感も楽しめます。決して安い食材ではないので、普段はあまり入れることはありませんが・・・。
しかし、テレビで美味しそうなおでんのたこを見て、無性に食べたくなりました。そして、たこ入りおでんを作ることに!今までは適当に入れていましたが、今回は少し勉強して、たこを扱おうと思います。
■たこを1分下ゆで!
買ってきた「茹でダコ」を食べやすい大きさに切り、沸騰したお湯に入れて、約1分下ゆでします。
これは何のためかといいますと、おでんのつゆに、たこから出る赤い色を付けないためです。おでんが赤らむのは嫌ですからね。作業もいたって簡単ですし、これはしておこうと思いました。
■後は、つゆに序盤から入れる!
どうやら、柔らかいたこにするには、煮る時間や、煮方にいろいろと方法があるようです。
- 長時間煮込む。(最低1時間以上?)
- 中途半端な煮込み時間だと、かえって固くなる。
- 煮込む時間がないときは、逆に5分程度、食べる前に温めるだけにする。
- 圧力鍋を使う。
- 沸騰させずに煮込めば大丈夫。
- 大根で叩く。
などなど・・・。いろいろな情報が飛び交っています。
う~んどうしよう。
たこが煮込めば煮込むほど柔らかくなるのは、ある境界線を超えてからのようです。その煮込み時間の境界線が、だいたい1時間くらいだと判断しましたが、断片的な情報からなので、定かではありません。
また、食べる前に温める方法は、たこのイイだしを思いっきり出したいので、パスします。
圧力鍋を使うのもいいかもしれませんが、その場合時間はどれくらい必要なのか?
大根で叩くという裏技的な物も試してみたい気もするけど・・・。
沸騰させずに煮込めば大丈夫のようでもあるし、よし、深く考えず普通に煮てみよう!
私のおでんの作り方は、沸騰させないで40~50分煮込み、半日冷まし、また20~30分温めるというものです。序盤から、つゆにたこを投入し今まで通りのおでんを作ってみよう。
こんな感じで、大根や厚揚げなどとほぼ一緒につゆに入れました。
■出来あがったおでんのたこ!
そして、出来あがったタコがこちらです。
そして、食べる前に思ったのですが、私がおでんのたこを食べたのは、作り方も覚えていないかなり昔に、自分で作ったものを1~2回程度食べただけ。お店や、コンビニでは食べたことはありません。
どれくらいが柔らかいタコなのか、固いタコなのか。判断基準がいまいち・・・。ただ以前作ったものは、「固めのササミ」くらいだったような気がします。おそらく「固いおでんのタコ」の部類・・・。
食べてみました。
以前のタコよりかは柔らかいのは確か。ササミではなく、タコでした。パサついている感じもそれほどしません。しかし、柔らかくて美味しいおでんのタコ?ではないような気がします。もう少し柔らかくなってもいい気がします。最初の煮込み時間を少し長めにすればもっと柔らかくなるのかなぁ?おでんのタコ。課題は残ります。
よし、タコを入れるおでんのときは、もう30分長めに煮込んでみよう。次回はもっと柔らかいタコに仕上がりますように。