全国でのおでんの地域差が面白い!地域によって全然違う具や味付けを探ります。
冬のお料理といえばおでん!全国で愛されるメジャーなお料理です。そして自由度も高いお料理の一つ。入れる具のチョイスやスープの味付けは、まさに作る人の自由。それ故におでんは各地方で食べ方の差が出やすいお料理。多数ある「ご当地おでん」がそれを立証している訳です。
目次
・北海道・東北のおでん
・関東のおでん
・中部のおでん
・関西のおでん
・中国・四国のおでん
・九州・沖縄のおでん
・おわりに
北海道・東北のおでん
北 海道・東北のおでんを探ります。
おでんのベースとなる「だし」は昆布だけでシンプルにとる傾向にあるようです。そして味付けも薄味に仕上げます。薄味に仕上げるどころか、出汁だけ、更には水だけで作るおでんもあるそうです。水だけの場合は、具材から出るだしだけということですね。しかし、そんなおでんの具は みそだれ に付けて食べる訳です。なるほど。具材に味を染み込ませるおでんの調理概念とは少し違う訳です。具材そのものの味わいが楽しめそうです。みそだれも青森ではショウガが入るという特徴もあるようです。温まりそう、寒い地域での文化を感じます。
そんな、みそだれのレシピ。
→ 道産子の定番!簡単おでんのみそだれ (from:cookpad)
→ 生姜味噌だれ標準レシピ (from:青森おでんの会)
参考になります。
具材としてはさつま揚げの使用率は全国で見ると高めのようです。納得!おでんの定番の具の中で旨味を放つ数少ない具材である練り物系は、シンプルなだしのおでんでは重要度が高くなりそうです。さつま揚げは魚のすり身です。入れるだけで魚介の旨味が出る訳です。
他に特徴的な具は、北海道ならではの「ホタテ」「ツブ貝」などの貝類。そしてフキなどの山菜があげられます。フキは北海道ではおでんとしてメジャーな具材のようです。セブンイレブンのコンビニおでんのメニューでは、「山ぶき」として北海道限定で販売されています。コンビニでも売られてるんですね。
この北海道・東北地方のおでんが「おでん缶」で味わえる!面白い。ネットで買えます。
生姜味噌仕立てのおでん。卵、大根など6種の具材の中に「ホタテ団子」入りバージョンと、「シャモロック団子」入りバージョン(シャモロックとは、青森の最高級ブランド地鶏)のおでん缶が楽しめます。付属の生姜味噌ダレを付けて食べます。思いっきりご当地感あふれる商品だ。※詳細はネットショップに立ち寄ってみて下さい。
北海道・東北おでん。具材そのものの味わいを生かし、味噌で食べる!究極のおでんの食べ方なのかもしれません!
関東のおでん
関 東のおでんを探ります。
関東地方のおでんだしは、昆布とかつおベースで、濃口醤油を使い、甘辛くコクのある味わいに仕上げるのが一般的のようです。色合いも醤油の濃さが出るのも特徴的。
日本の人口の3割以上を占める関東地方。関東地方のおでんは多くの人に愛されているおでん。したがって全国でも浸透し食べられている具材ばかり...ではない!んですね。
ちくわぶ と スジ。これらは関東地方でしか根づいていない具材です。
まず「ちくわぶ」は小麦粉と塩と水を練って茹でた食材。
関東の人にはこのような説明は不要なぐらいメジャーな食材ですが、他の地域では意外と知らなかったりします。ちくわのような魚の練り物?なんて思っている人も少なくはないでしょう。メディアにより「おでんのちくわぶ」という存在は認知されていますが、関東地方以外では馴染みのないおでんの具といえるでしょう。
ここでもまたセブンイレブンのおでんで調べてみますと、ちくわぶの販売地域は関東と山梨だけなんですね。九州地方に住んでいる私が、ちくわぶを購入しようとスーパーに出向いても何件かハシゴしないと見つからない。といった状況でした。
ちくわぶに興味があり、近所のスーパーで見つからない地域の人はネット購入だ!
そして「スジ」。関東でスジといえば魚の白身と軟骨を練った練り物。コリっとした食感が楽しめます。こんな感じのもの。
出典:紀文アカデミー
魚介の練り物ですね。でもこれも関東の特徴的な具材。
「スジ」といえば牛肉の「牛すじ」のことを指す地域の方が多いようです。こんな感じのもの。
全くの別物です。
更に「結び昆布」。昆布そのものを味わう具材。
これは全国的にもおでんに入れられる具材ですが、関東での投入率は高め。セブンイレブンおでんで「昆布巻」の販売地域は東京一部・千葉・埼玉一部のみとなっていることから、関東のおでんでは具材として昆布がよく使われている事がうかがえます。
関東おでんのわかりやすい基本的なレシピ。
→ 関東風おでんのレシピ (from:味の素パーク)
関東おでん。地域的特徴しっかりあります。ちくわぶも濃い目のスープだからこそマッチするのかも。餅巾着と同様にちくわぶはおでんの具の中では貴重な炭水化物要員ですしね。
中部のおでん
中 部のおでんを探ります。
中部地方には、全国にも知れ渡る地域性あふれるご当地おでんがたくさんあります。串に刺さった静岡おでん。味噌仕立ての名古屋おでん。内陸部、日本海側でも地域独自のおでんが存在します。
▼ 静岡おでん
地域の名前が付いたおでんとしては最も有名かもしれません。そしておでん屋さんが密集してずらりと並ぶおでん横丁といわれる飲食店街もあり、おでん熱の高い地域といえるようです。
おでんだしには牛スジのだしが使われるという特徴もあります。濃い口醤油で味付けします。黒いスープの外観にインパクトがあります。そして具材一つ一つに串を刺すスタイル。スープはお皿に入れず「だし粉」「青のり」を振りかけて食べます。
そして、この静岡おでんでの定番人気の具材は 黒はんぺん 。
黒はんぺんとは、魚の練り物ですが、魚の皮や骨も一緒に入っているので黒っぽい色合いのものに仕上がります。
他の地域と比べ、特徴的な要素が多く含まれる静岡おでん!魅力的です。
ちなみにこのサイト運営者でおでん好きの私が、自宅で静岡おでんを特徴を忠実に守り作ってみた記事です。牛すじの出汁で真剣に作りました。
静岡おでん!特徴をじっくり調査し自宅でつくってみました。
宜しければ...のぞいてみて下さい。
▼ 名古屋おでん
名古屋といえばやっぱり味噌。おでんも味噌仕立ての味わいに仕上げます。愛知県で作られる国が定める基準を満たした八丁味噌を使い、甘めに味付けするのが特徴です。名古屋の味噌おでんは「どて焼き」とも呼ばれたりします。
具材には、そのまま食べても味が付いている「練り物」などはあまり入れず、大根・こんにゃく・玉子・豆腐などシンプルな具に味噌味を思いっきり染み込ませるスタイル。「里芋」を入れるのも名古屋流。肉系の具は、牛すじの他に「豚モツ」が使われています。
名古屋おでんのわかりやすい基本的なレシピ。
→ 名古屋おでんのレシピ
出典:S&B エスビー食品
そんな八丁味噌。「名古屋」「八丁味噌」と検索すれば、ドンとトップに表示される
まるや八丁味噌 。
出典:まるや八丁味噌
愛知県岡崎市に本社を構える歴史ある老舗。江戸時代からの味噌づくりの技を今も守り続けているという。本物の八丁味噌が確実に味わえる訳ですね。まるや八丁味噌ホームページではオンラインショップもあるみたい。
Amazon・楽天でも、まるや八丁味噌が購入できます。
名古屋おでんには八丁味噌が必須!
▼ 長野県のおでん
出典:紀文食品
長野県には「飯田おでん」と呼ばれるご当地おでんがあります。これもまた地域差が出て面白いおでんです。具材自体はオーソドックスですが、長野県飯田地方では、おでんに ネギだれ を付けて食べる文化があります。このネギだれの作り方、家庭によって差はあるようですが、きざみネギと鰹節を醤油に長時間漬け込むというもの。和風ベースのネギだれです。これをおでんに乗せて食べる訳です。ネギの名産地、信州ならではの食べ方といったところでしょうか。
長野県飯田おでんのわかりやすい基本的なレシピ。
→ 飯田風おでんのレシピ
出典:紀文食品
そんなネギだれ。「信州飯田のねぎだれ」といって商品化もされています。
楽天・Amazonでも購入可能です。おでん以外に様々なレシピにも使えそうです。
関西のおでん
出典:ニッスイ公式サイト
関 西のおでんを探ります。
おでんだしのベースは昆布とカツオ節。そして味付けが東日本とガラッと変わります。「醤油」が違います。東日本では主に「濃口(こいくち)醤油」を使いますが、関西地方からの西日本では「薄口(うすくち)醤油」が主流になります。
濃口醤油と薄口醤油の違いは、色の濃さや塩分濃度(薄口醤油の方が塩分濃度高め)だけではなく、料理の味わいもかなり変わってきます。濃口醤油は醤油のコクを楽しむ。薄口醤油は醤油の香りを楽しむ。といったところでしょうか。薄口醤油であっさりと仕上げ、砂糖を入れ甘目に仕上げたりもします。様々なレシピを見ても東日本と西日本の使う醤油の種類はこの関西地方を境に分かれているように感じます。
具材は、大根やタマゴなどの定番具材とともに「牛スジ」や「タコ」などの投入率も高め。
関東で人気の「はんぺん」はそこまで重要視されていないようです。そして「じゃがいも」投入率も全国の中ではトップクラスのようです。
関西おでんのわかりやすい基本的なレシピ。
→ 関西風おでんのレシピ (from:ニッスイ公式サイト)
関西は「関西おでん」と統一しているわけではなく、やはり地域特徴おでんが存在。
▼ 姫路おでん
兵庫県姫路市のご当地グルメとして「姫路おでん」は有名のようです。大きな特徴は生姜醤油をタレとして付けて食べることです。青森県の「生姜味噌」に対して姫路は「生姜醤油」。具材として「牛スジ」はだしの要員ともなり、静岡おでんのように外せない重要な具のようです。生姜醤油、これまた独特な食べ方です。
姫路おでんの基本的レシピ。
→ 姫路おでんのレシピ
出典:S&B エスビー食品
東日本と西日本で味付けが別れるのは「おでん」にもしっかりと繁栄しているようです。
中国・四国のおでん
出典:紀文食品
中 国・四国のおでんを探ります。
中国地方、四国地方のおでん。味付けは薄口(うすくち)醤油ベース、具材も「牛すじ」「じゃがいも」などを入れることから、関西おでん寄りの特徴といったところ。でもこの中国・四国地方のおでんも探ると面白い。
▼ 松江おでん
出典:松江観光協会
島根県松江市の「松江おでん」。全国おでんサミットin 松江が開催されるくらい、松江市はおでんが盛んな街。松江おでんでは「春菊」などの葉ものが入るのが最大の特徴。葉ものは煮込まず軽く火を通して食感を楽しみます。
そしてだし・味付け・具材に特徴がないのが特徴...!のおでんのようです。お店ごとにだしや味付けは様々のようです。おでんは自由!松江のおでんはそんなおでんの良いところを存分に楽しませてくれそうです。
松江市民の方が作る松江おでんレシピの一例。
→ 松江おでんのレシピ
(from:cookpad)
▼ 香川おでん
出典:香川県観光協会公式サイト
讃岐うどんで有名な香川県。「香川おでん」「高松おでん」「讃岐おでん」などご当地おでんの呼び名としては色々あるようです。うどん県である香川のうどん屋には、おでんも一緒に販売しているところが多いんです。だしはうどんのだしを使います。そしてそんなおでんを「からし味噌」をつけていただきます。
出典:JAPAN MISO PRESS
出典:JAPAN MISO PRESS
おでんはセルフシステム。ご当地感あふれるおでんです。
家庭で作る香川おでんの「からし味噌」レシピもクックパッドなどで多数紹介されています。
→ 讃岐風☆おでんの辛子味噌
→ ☆讃岐名物☆おでん味噌♪
from:cookpad
讃岐風からし味噌として市販でも売られています。Amazonで購入できます。
この讃岐風からしみそと、市販のうどんだしを使えば、家庭でも簡単に「香川おでん」が再現できそうだ!
ちなみに、四国のおでんの具材には「じゃこ天」の投入率多め。
九州・沖縄のおでん
出典:屋台おかもと
九 州・沖縄のおでんを探ります。
九州の料理では比較的「甘め」の味付けというものが特徴的。よっておでんも甘めの味付けをするところが多いようです。
九州のスーパーの醤油コーナーでは、濃口醤油・薄口醤油だけではなく「うまくち醤油」が棚にズラッと並んでいます。うまくち醤油とは旨味成分や、甘味が加えられた醤油。昆布とカツオのだしが入ったものもあります。九州以外の人が「九州の醤油は甘い!」と感じることはよくあることのようです。
そんな九州のおでんだしは昆布とカツオが主流のようですが、「鶏ガラ」ベースのおでんもあったり。具材も地域色があります。九州といってもひとくくりにはできないようです...。
▼ 博多おでん
出典:屋台おかもと
屋台文化が根付いている博多。家庭おでんも屋台の味がベースになって広がっている感じ。だしは昆布やカツオの基本にプラスアルファで「鶏だし」や「牛すじだし」のインパクトが加えられている傾向。
そして博多おでんの最大の特徴は「餃子巻き」という具が入ること。餃子巻きとは、餃子を魚のすり身で覆い揚げたもの。餃子が崩れる心配はありません。
餃子巻き。このようなものです。
博多の屋台のおでんには大抵、餃子巻きが入っているようです。それ故に九州北部では馴染みのある具材になっている訳です。
私は九州在住で近所のスーパーですぐに餃子巻きが購入できます。自宅でおでんの餃子巻きを楽しんだときの記事です。
おでんの餃子巻き!かなり地域性のある具の一つ。その味わいをレポート!
宜しければご覧ください。餃子巻き、本当に美味しいです。
▼ 長崎おでん
出典:長崎かんぼこ王国
ちゃんぽんで有名な長崎県。そんな長崎のおでんも地域特徴がしっかりあるんですね。
おでん出汁は、「あごだし」を使います。あごだしとはトビウオのだし。すっきり上品でありつつ、深みのある味わいで、最近では大手企業も注目している出汁です。具材はかまぼこ、ちくわなどの「練り物」系の投入率がかなり多い。練り物がメインといっても過言ではないおでんです。
おでんの具として重要な「たまご」も、練り物で覆います。
出典:長崎県産品データベース
竜眼/龍眼 りゅうがん。ゆで卵を魚のすり身で覆い揚げたもの。真っ二つに切ると龍の目を連想させることによりそう呼ばれています。
長崎おでんのレシピ。
→ 長崎風おでんレシピ
from:紀文食品
ネット購入一発で長崎のおでんを味わいたいなら。
この「七福玉手箱」がおすすめ。竜眼を含めた数々の練り物、あごだしスープ付き。シメとして五島手延べうどんもセットになっており、長崎感あふれるセットおでん!
▼ 鹿児島おでん
出典:カジュアルクルーズ さんふらわあ
鹿児島では暖かい地域ということもあり、おでんの文化はあまりない...いやいや、あるんです。意外にも鹿児島市繁華街ではおでん店が多い。スープは味噌ベース。ザラメや黒砂糖を使い甘めに仕上げます。名古屋の味噌おでんとの違いは、豚骨や鶏がらメインで出汁をとること。具材として重要なのは「豚骨」です。鹿児島おでんでいう豚骨とは豚の骨付きあばら肉です。あと「豆もやし」が入るのも鹿児島おでん流。しっかりと地域特徴おでんが存在しています。
鹿児島おでんのレシピ。
→ 鹿児島おでんレシピ
from:紀文食品
豚肉を重視するおでん。鹿児島らしさを感じます。
▼ 沖縄おでん
沖縄おでん。暑い沖縄でもおでんは盛んです。特徴は豚重視の鹿児島おでんよりも、更に豚重視のおでんといったところでしょうか。
具材にはテビチ(豚足)、ソーキ(豚の骨付きのあばら肉)が入ってきます。そこにチンゲンサイなどの野菜を添えるというのが沖縄流。ウインナーが入っているレシピも多いです。出汁はテビチ・ソーキ・鰹だしで仕上げるようです。
沖縄おでんを知るなら!
→ 沖縄おでん作り方
from:沖縄旅行・観光のおすすめ情報サイト
おでんに豚足。美味しそう。じっくり煮込みがいのある具材です。
おわりに
全国のおでんの特徴、地域差を探っています。まだまだ正確に探りたいところです。出汁・スープの違い。入れる具材の違い。食べ方の違い。本当に様々です...。地域で好まれる味覚の差というものを実感させられます。コンビニおでんでも取扱う具材に地域の特徴があるくらい。おでん、面白すぎます!
おでんは自由に遊べる!
おでん好きの私のサイトのトップページ。
→ おでん研究室
宜しければ立ち寄ってみて下さい。
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